愛するクラブの一員として埼スタのピッチに立った
「帰ってこられたな」
久しぶりの埼玉スタジアムに足を踏み入れた岡本拓也の胸には、そんな思いが浮かんでいた。緊張と昂り、様々な感情が湧き上がる中、スタメン出場を果たしたピッチの上で試合開始のホイッスルを聞いた。
2010年3月14日、17歳だった岡本は埼スタでJ1デビューを果たした。高校生があの雰囲気の中で懸命にプレーしていた。「よくやってたな」と懐かしそうに笑う。
あれから5年が経ち、岡本も22歳になった。2013年の途中にはV・ファーレン長崎へ期限付きで移籍している。1年半で40試合に出場するなど実戦の感覚を養い、J2での厳しい戦いを自らの糧として成長を遂げた。
そして今季、浦和へ復帰。ACLでは出場したが、リーグ戦の舞台には立てていなかった。浦和の最終ラインを担う槙野智章、那須大亮、森脇良太は強さも上手さも備える。守備だけでなく攻撃面でもその貢献度は高い。
今節、森脇の欠場でチャンスが回ってきた。2010年の最終節以来となるリーグ戦でのスタメン出場となった。
「埼スタのピッチで、浦和レッズのユニフォームを着て試合に出ること。長崎に行っている間もそれを目標に掲げてやっていた」
清水との試合後、岡本はこう振り返った。自身のプレーについては「自分のいいところを出していこうと。その部分はある程度出せたと思うけど、他の部分でもっとできたんじゃないか。やらなきゃいけない」と、手応えと課題を述べた。