「グループとしての一体感を作り上げる」
新指揮官が入ってくると、無数のフラッシュが焚かれた。2015年6月3日に行われたトーマス・トゥヘルの就任記者会見で、ドルトムントのハンス・ヨアヒム・ヴァツケ社長は「今日から我々は再び戦闘モードだ」と熱を込めた。
5月30日のポカール決勝で敗れた時点で、14-15シーズンは終わった。そしてトゥヘルを迎えて、新たなシーズンに向かってドルトムントの巻き返しが始まるのである。
ミヒャエル・ツォルクSDがドルトムントを「さらに発展させる」と述べたように、あくまでクロップの延長線上にトゥヘルがある。今季は残留争いを演じて7位に終わったが、スタイルが抜本的に変わることはない。
6月3日付のシュポルトビルト誌によれば、会見の翌日にトゥヘルはクロップと落ち合い、情報交換をするのだという。トゥヘルの理論にクロップの経験が加わって、新たなBVBは作られていくのだろう。
チームに要求するものとして、トゥヘルは「勤勉」、「謙虚」、「勇気」、「誠実」、「粘り強さ」、そして「エゴイズムのない成果への意欲によって実現する雰囲気」を挙げている。
その意味では、5月24日にレバークーゼンより獲得が発表されたゴンサロ・カストロは、トゥヘル体制を象徴する存在と言えそうだ。フィジカルに長け、ハードワークを惜しまないプレー・スタイルは、まさにトゥヘルの求める5つの要素を満たしている。トゥヘルは「グループとしての一体感を作り上げる」ことを目的としている。
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