「受け入れることが難しい」。リエージュでのレギュラー剥奪
2シーズン目にはキャプテンも努めたリールセでの活躍が評価されて、ベルギーの名門スタンダール・リエージュへ3年契約で移籍したのが2012年の夏。おそらくはこの時点で、川島は戦いの舞台をベルギーからさらにランクの高いリーグへステップアップさせたかったのだろう。
その思いが「ベルギーにここまで長くいるとは」という言葉につながっている。実はリエージュ側からは昨年3月の段階から、契約延長を打診されていた。今年1月にはローラン・デュシャトレ会長との話し合いの場も設けられた。
それでも、川島は初志を貫いた。すでに報じられている今シーズン限りでのリエージュ退団は、川島本人の意思でもあった。
もっとも、リエージュでの最終シーズンにおいても「自分が計画した通りにいかない」事態が発生する。チームが下位に低迷していた昨年10月。指揮官更迭を機にレギュラーの座を剥奪され、そのままシーズンを終えた不完全燃焼の思いは、川島をして「受け入れることが難しかった」と言わしめる。
「ベルギーに来てからも試合に出ることにこだわり続けてきたので、正直、満足のいく状況ではなかった。ただ、自分の挑戦というものは向こう(ヨーロッパ)で勝ち残っていくことだし、まだまだ上へ行くことなので、こういう(出られなかった)時期が自分のGKとしてのキャリアにつながっていくと思っている」
惨敗を喫したブラジル大会の喪失感や疲れを引きずっていたからか。川島自身のプレーも精彩を欠き、失点を重ねるケースが少なくなくなった。外国人枠の関係で、ならばヨーロッパ人のGKで、という流れになったと容易に察することができる。川島が契約延長を固辞していたことも、新体制における起用法に少なからず影響していたのかもしれない。
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