ブラッター会長(左)と会話をかわすバルク事務局長【写真:Getty Images】
国際サッカー連盟(FIFA)の複数幹部が贈収賄や資金洗浄の疑いで逮捕された汚職事件で、2010年ワールドカップを招致した南アフリカ政府から資金を受け取り、起訴されたジャック・ワーナー元副会長に対して送金手続きを行った人物が、FIFAのジェローム・バルク事務局長であった可能性が高いと、米紙『ニューヨーク・タイムズ』や英紙『ガーディアン』など世界中のメディアが一斉に報じている。
記事では、2008年にFIFAからワーナー元副会長が管理する銀行口座に1000万ドル(約12億4700万円)が送金された事実を示す文書を紹介。この送金記録が一連の汚職事件の起訴の決定的根拠となったと伝えている。
この件についてFIFAは、2014年まで財政部門の幹部だったジュリオ・グロンドナ氏(現在は故人)が送金の権限を持っていたと主張。しかし、一方では「組織規則に従って実行された」と、巨額送金の事実があったことは認めた。なお、バルク事務局長は送金に関する権限を自身が有していないと主張しているものの、組織規則では口座を管理する権限を有しているのは事務局長であると規定されてある。
バルク氏は2003年にマーケティング担当幹部としてFIFAに入り、5選を果たしたゼップ・ブラッター会長の側近を務めている。同会長も関与を否定しているため、組織は責任の所在を転嫁させようと奔走している。
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