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香川真司 9年前

クロップと香川が紡いだ5年間。その身は離れようとも…変わることのない愛情と信頼

text by 本田千尋 photo by Getty Images

理想通りとはいかなかった2人の再会後

 再会は思い掛けずやって来る。昨季のゲッツェに続いてレヴァンドフスキという大黒柱が抜け、14-15シーズンのレバークーゼンとの開幕戦を落とすと、続くアウクスブルク戦も3-2とドルトムントは不安定な戦いを強いられていた。

 そして香川が抜けた後で主力となったロイスも、欧州選手権予選のスコットランド戦で負傷して離脱してしまう。ドルトムントは苦境に喘いでいた。

 そこでマンチェスターからの移籍を決断していた香川を、クロップは再獲得する。クロップの中で残像は根強く、香川への信は少しも揺らいでいなかった。

「彼はとても、とても優れた選手だ。我々をさらに良くするだろう。彼が再びここにいるということは、とてつもなく素晴らしいことだ」

 ロイスだけでなくブワシュチコフスキも抜けていたこともあって、香川を再獲得するや否やクロップは、2014年9月13日の第3節フライブルク戦で即座にピッチへと送り出した。あのシャルケとのダービーから、4年の月日が流れていた。

「彼との契約以来、ロイスとクーバが負傷した。だから今私は、彼が当初は穏やかに観客席から試合を眺めることが出来るとは言えない。シンジは今すぐ必要とされている。ドルトムントの雰囲気は彼を戦いへと掻き立て、鼓舞し得るだろう!」

 そして香川は、期待に応えた。フライブルク戦で1ゴールを挙げる活躍を見せ、ドルトムントは勝利する。香川とクロップの、第二の黄金時代が始まる。BVBを愛する誰もが予感を抱いた。

 しかし現実は違った。香川はかつてのパフォーマンスを取り戻せず、ドルトムントも不振に喘いだ。順位はズルズルと下がり、第13節には最下位に落ちてしまう。そして香川は先発の座を失った。

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