イメージが悪い“ブラッター派”
2022年大会が予定通りカタールで行われた場合、アジアにチャンスがあるのは2030年大会だ。2022年の選挙で敗れた豪州、韓国は立候補する可能性が高い。日本もかつてJFA(日本サッカー協会)の小倉純二名誉会長が「2050年までにもう一度日本で開催したい」と発言しており、手を挙げるだろう。
そうなった場合、欧州がどこに味方するのかは非常に重要だ。今回、反ブラッターを宣言した豪州は現状で一歩リードと言っていいだろう。
日本はJFAの大仁邦彌会長がAFC(アジアサッカー連盟)に追従しブラッター氏に投票することを匂わせていた。だが、選挙後はどちらともつかない発言をしている。秘密選挙のためどちらに投票したのかは恐らく明らかにならないだろう。
とはいえ、明確にアリ王子支持を表明した豪州などと比べると不利であることは事実。新たにFIFA理事に就任した田嶋幸三氏を中心に欧州の切り崩しをしていく必要がある。このまま“ブラッター派”と欧州に認識されたままではイメージがあまりに悪い。
投票が行われる予定の2021年までは時間があるが、仮にカタールがW杯を返上する事態になれば、時間はない。FIFAは予定通りの開催を強調するが、今後の捜査が緩む気配はなく、状況は不透明だ。
日本にW杯を持ってくるために何が必要か。重要なのはFIFA内部での政治力を高めることだ。
残念ながらホスピタリティやプレゼンテーションはW杯開催地を決める際の大きな決め手にはならないことが判明している。2018年のロシア、2022年のカタールは現地調査によるレポート評価で候補地の中で最下位だった。それでも選ばれた。
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