2年前は何もできなかった
長い沈黙だった。
監督会見場に現れた湘南ベルマーレのチョウ・キジェ監督は、試合の総括を求められると、最初にどのような言葉を発するべきかを考えていた。
「僕がコーチの時も監督の時もですけど、広島さんとの試合は何もできなかった記憶しかない。それほど洗練されているチーム」と、相手への賛辞を口にした。
2年前にJ1で対峙した時は完敗だった。その時の悔しさも今の湘南を形作っているようだ。
「彼らに追いつけ追い越せするために、我々独自のもの、選手の特徴を生かしたものを作っていかないといけないと改めて思い直した」とチョウ監督。今の湘南があるのは、広島戦に限らず、2年前のJ1で味わった苦い記憶が出発点となっているのだろう。つまり今季は、当時の悔しさを晴らすという位置付けもあるはずだ。
そして今回の広島戦だ。スコアレスドローに終わったが、「我々らしいゲームができたと思います。それだけに勝ち点3を取れないのは非常に悔しいです」と、チョウ監督は振り返った。
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