指揮官との「最高の別れ」は実現せず
68分にドルトムントは、ドゥルムとケールに代えてピシュチェクとクーバを入れて、オーバメヤンを左サイド、ロイスをワントップに持ってくる。香川はボランチに入りながら、ときおり前線に上がって攻撃参加した。しかしメンバーの変更は、あまり功を奏さなかった。
ケールは「後半戦にもはや我々はうまい手口を見つけることが出来なかった」と言う。74分にヴォルフスブルクはペリッシッチに代えてギラボギを入れて、4-4-2でさらに「上手く引いて構えた」。結局のところドルトムントは追加点を奪うことができず、ポカール決勝を1-3で落とすこととなった。
クーバが語る。
「僕達はポカールを勝ち取って、監督に素晴らしい別れを準備するつもりだった。残念ながら成功しなかったけどね」
ケールが「リクエストに応えてくれる音楽会なんかじゃない」と言うように、時として「フットボール」はありのままの現実を突き付けてくる。2位と7位というリーグ戦での順位が示すように、ドルトムントとボルフルブルクの間には総合力で差があったと言える。
ケールは「90分間のトータルではヴォルフスブルクの方が良かった」と最後に力の差を認めた。
クロップは「人生はなおも続く」と言葉を残している。悔しさは計り知れないが、負けたからと言って、人生が終わるわけではない。クロップには次の監督人生が、ケールには第二の人生が待っている。
人生が続いていけば、ヴォルフスブルクに敗れたポカール決勝を笑って振り返る日も、きっと来るはずだ。
【了】