十分に魅力的だった序盤のミラン
2014年8月31日、ラツィオを相手に本田圭佑のゴールで幕を開けた今季のミラン。クラレンス・セードルフ監督の下、混迷の中で終えた昨季からチームの建て直しを託されたのは、同じくクラブのレジェンドであるフィリッポ・インザーギだった。
その手腕には懐疑的な目も多かったはずだが、インザーギ監督はウイングが本職のジェレミー・メネズをセンターFWとして起用し、トップ下が本職の本田圭佑を右ウイングで起用。
両者ともに純粋にそのポジションの役割をこなすのではなく、メネズは“ニセ9番”、本田は中への侵入とポジションへの“不適正さ”を生かした起用法で相手チームの脅威となっていた。
そして、サイドアタックとカウンターから主なチャンスメイクを右SBのアバーテと左WGのエル・シャーラウィが担うと、本田とメネズの得点力が輝きを放った。
特に開幕から7節までに6ゴールを決めた本田圭佑は、この7試合が自身のキャリアにおいて最も充実した日々だったに違いない。その間、4勝2分け1敗という成績を残した“インザーギ・ミラン”は十分に魅力のあるチームだった。
しかし、その後はまるでジェットコースターを下るようにチームは急降下。追い打ちをかけるようにアジア杯参加の影響で本田がチームを離脱。
冬の移籍市場で獲得した新戦力はSBのボッケッティとついに腹を括ってバリカンを手にしたCBのパレッタがある程度は貢献したものの、チェルチやスソ、デストロといった前線の選手は全く活躍することができなかった。