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アジア 9年前

発展続くAリーグが抱える不安要素。経営難に陥った2つのクラブ、リーグの歴史が短い故の“苦しい事情”とは?

text by 植松久隆 photo by Getty Images

ニューカッスル・ジェッツはオーナーがFFAからの警告を拒み続け…

発展続くAリーグが抱える不安要素。経営難に陥った2つのクラブ、リーグの歴史が短い故の“苦しい事情”とは?
ニューカッスル・ジェッツ【写真:Getty Images】

 もう一つのクラブは、ニューカッスル・ジェッツ。地元の鉱山主として一代で巨万の富を築いたワンマンオーナーのネイサン・ティンクラー氏が、自身の所有企業の不振もあって度重なる給与未払いや練習場施設などの使用料の支払い遅延に対してのFFAからの再三の警告を拒み続けた。その挙句、一方的にクラブを任意清算すると発表。それに対して、FFAはすぐにティンクラーのライセンスを剥奪、クラブを一時的に管理下に置くことを決めた。

 ジェッツに関しては、以前からスコットランド・プレミアリーグのダンディー・ユナイテッドのオーナーが買収に興味を示してきた。一度は前オーナーのティンクラー氏との間で交渉がまとまらなかったものの、引き続き強い興味を維持しているとされ、FFAは何とかこの商談を成立させようと交渉を急ぐ構えだ。

 広大な国土に10チームしかないAリーグの現況では、チームをこれ以上減らすことは許されない。それがゆえに、クラブの経営危機が騒がれるとすぐにFFAの介入が取り沙汰され、今回のジェッツの場合のように幾つかのケースでは実際に介入を果たしてきた。

「こんなことの繰り返しが、リーグとしてのあるべき姿なのか」という疑問は残る。しかし、FFAとしては、Aリーグをこの地に根付かせるためにも現況のフォーマットを崩すわけにはいかない。10年の短い歴史の中で、既に3つのクラブが消滅している過去があるだけに、これ以上の蹉跌が許されない苦しい事情もある。

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