オーナーの経営不振により経営難に陥ったブリスベン
まずは、ファイナル王者に3回輝いた実績を誇るブリスベン・ロアー。リーグ有数の実績を持ち、現行ではQLD州唯一のクラブのブリスベンだが、これまでの歩みは決して平坦なものではなかった。
発足直後から財政的に安定せず、09年からチームを所有していた地元の有力ビジネスマン3名によるオーナーシップは慢性的な赤字経営が好転しないことを受け、11年3月にクラブのファイナル制覇の快挙とは裏腹にクラブ経営からの撤退を決めた。
それを受けて、豪州サッカー連盟(FFA)が新オーナーが見つかるまで暫定的にクラブを管理下に置くことを決した。そして、11年10月にインドネシアの財閥バーキー・グループに完全にクラブの経営権を売り渡すことに成功したことで、クラブは存続を果たした。
巨大資本のバーキー・グループがクラブを経営するようになってから、一旦は安定したかに見えた経営状態だったが、観客動員は劇的な伸びを見せず、本拠地の巨額の使用料などが財政を圧迫し続けた。そして今季、オーナー財閥の本業の不振が抜き差しならない状況になるに至って、地元紙のスクープでクラブの経営難が一気に表面化した。
しかし、5月24日にはバーキー・グループがクラブを引き続き所有し続けると同時に、前オーナー・グループを中心とした地元の投資家との共有を目指して前向きに協議に入ることを明らかにした。26日には、新監督に元豪州代表のジョン・アロイージの就任が発表されるなど、FFAが慎重に経緯を見守る中でブリスベンの経営危機騒動は沈静化されつつある。