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Jリーグ 9年前

Jリーグは本当に“拡大均衡”状態なのか? 経営状態の実態とクラブ経営者の憂鬱

text by 藤江直人 photo by Getty Images

本当に拡大か? 大きく数字を減らすクラブも

 果たして、この言葉は実態を反映しているのだろうか。広告料と入場料を2本柱として収入を増やし、黒字経営を堅持した上で投資に回す支出を増やしていくことが「拡大均衡」となる。しかし、支出で最も大きな割合をしめる「チーム人件費」を精査すると、決してそうとは言い切れない。

 2014年シーズンをJ1で戦ったチームの人件費を見ると、J1昇格に伴って戦力を補強したガンバ大阪、ヴィッセル神戸、徳島ヴォルティスと、推定年俸6億円とされるW杯得点王のディエゴ・フォルランを獲得したセレッソ大阪の4チームが全体を大きく押し上げていることがわかる。

 4チームの人件費の総額は昨年から13億1100万円アップ。一方でレイソルを除いた残る13チームの合計額は4700万円アップにとどまっていて、そのなかでも鹿島アントラーズ(-1億3900万円)、グランパス(-2億9000万円)、サンフレッチェ広島(-1億円)はそれぞれ大きく数字を減らしている。

 一方で人件費が大きく増加した大宮アルディージャ(+1億1400万円)、清水エスパルス(+1億300万円)、セレッソ(+4億6800万円)、サガン鳥栖(+1億6400万円)は、シーズン途中の監督交代に伴う契約金や新たな年俸の発生と無関係ではないだろう。

 セレッソを除けば、むしろ「縮小均衡」と言わざるを得ない。加えて、前出の“リーチ”がかかっていたチームの財務状況を見ても楽観できない状況が伝わってくる。

 たとえばグランパスは、2013年シーズンのオフに田中隼磨(現松本山雅FC)、藤本淳吾(現横浜F・マリノス)、増川隆洋(現ヴィッセル神戸)、阿部翔平(現ヴァンフォーレ甲府)といった高年俸のベテラン主力選手を大量に放出した。目的はもちろん人件費の圧縮に他ならない。

 6億7700万円の債務超過を抱えていたマリノスは、1億7700万円の特別利益を計上して資産超過に転じさせた。責任企業の日産自動車からの支援、つまりは赤字補填であり、マリノスは2013年度にも日産自動車から10億円の支援を受けている。

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