3期連続赤字と債務超過クラブがゼロに
Jクラブの経営陣たちに対して、「2014年度決算」という作業は決して小さくはないプレッシャーを与えてきた。2012年2月から本格的な運用が開始された「Jリーグクラブライセンス制度」が、ひとつの節目を迎えるからだ。
ドイツ・ブンデスリーガに倣ったこの制度は、Jリーグに加盟する各クラブが満たすべき基準を「競技」「施設」「組織運営・人事体制」「財務」「法務」の5つの分野で定めている。このうち「財務」において、2014年度をもって「3年間の猶予期間」が終了した。
具体的に説明すれば、2014年度決算が確定した時点で、下記の2つの財務状態に陥っているクラブはJ1及びJ2のライセンス資格を失う。つまり、J3以下の下部リーグへの降格処分を受けることになる。
(1)3期連続の赤字
(2)債務超過
2013年度決算の時点で、(1)に対しては名古屋グランパスやヴィッセル神戸など5クラブが、(2)には横浜F・マリノスやサガン鳥栖など11クラブが、いわゆる“リーチ”がかかった状態にあった。
結論から先に言えば、5月22日に先行開示された「2014年度 Jクラブ経営情報」において、(1)及び(2)に抵触したJ1及びJ2のクラブが初めてゼロとなった。
3月決算でまだ数字が確定していない柏レイソルとジュビロ磐田を除く38クラブの合計値を見ると、収入の合計となる「営業収益」が前年比50億4400万円増、支出の合計となる「営業費用」が同45億9700万円増、当期純利益は同13億6700万円増となっている。
東京・文京区のJFAハウスで財務状況を説明した、Jリーグ・クラブ経営戦略部の青影宜典クラブライセンスマネージャーは、Jクラブの経営状態をこう位置づけた。
「クラブライセンス制度が導入された3年前は、3期連続の赤字や債務超過の回避を図るために縮小均衡が懸念される声がありましたが、結果として営業収益も増加し、それに近い水準で営業費用も増加している。我々としては総合的に見て、拡大均衡という形で推移しているととらえています」