W杯の放送権に関する収賄や詐欺に焦点を当てた米国の調査とは違い、スイス司法当局の捜査は2018年と2022年のW杯の選定と結び付いている資金洗浄の疑いに目を向けている。
警察は水曜の朝にチューリッヒにあるFIFA本部から関連書類を押収し、当該10名に事情聴取を行うことを発表。FIFA広報責任者のウォルター・デ・グレゴリコ氏は緊急記者会見で警察の捜査を歓迎している。
「FIFAにとってこれは良いことだ。改善に向けた道を歩んでいる。簡単ではないが、これが唯一の方法だ。4年前から始まったこの道を進んでいきたい」
デ・グレゴリコ氏の声明は、特にFIFAが2018年のロシア大会と2022年のカタール大会の再評決はしないことを断言したときに冷笑された。開催地変更の計画は、新しい情報が見つかり、新たな変化が提案されたときに敢行されるかもしれない。
ロシアは不安定な政情や経済によってW杯の計画が脅かされている。カタールは数千人の移民労働者をW杯の競技場建設に当てていることで人権侵害問題に直面している。
これらの事例は、2018年大会に入札したイングランドや2022年大会の投票で次点だった米国のような国々を代替地として考え直すことも時間の問題のように思える。決断の機会を失えば、FIFAは重大な改革を迫る批評家たちにかなりの攻撃手段を与えることになる。
組織に対する緻密な捜査を主張する『New FIFA Now』(FIFAへの改善を要求する別組織)は「我々はフットボールを愛しているが、FIFAによる恥ずべき行為によって憎悪している。収賄に関する継続的な申し立てや長年組織を苦しめてきた誤った管理は、競技が正しく運営されるべきだと願う我々の考えを反映していない」と語っている。
事態は深い闇に包まれており、今後はどのような真実が明らかになっても不思議ではないだろう。
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