日々の積み重ねがたくしましさを育む
メッシはどんなピッチ状況でも急減速と急発進をくり返せるだけの屈強なフィジカルを持っています。そのフィジカルのタフさは、やはり、幼少期からさまざまなピッチ状況や年上の選手たちと一緒にプレーする厳しい環境下で身についたものだと思います。
ただ、ここで注意しなければならないのは「フィジカル」の意味です。「メッシはフィジカルが強い」というときのフィジカルとは、F1カーに急減速や急加速に耐えられるだけのブレーキやサスペンションの強度があるように、人間の体でいえば、体幹の強さがあるということです。
昨年のワールドカップでのメッシを見て程よいリラックスした印象を受けました。そしてドリブルで突破する力が以前にも増していると感じました。1対1も1対2も変わらず、こうすればいい、という方法論を持っていて、ひょいひょいとプレーできていました。
世界中の猛者たちがメッシのドリブルを食い止めようと狙っているのに奪えないのです。メッシには国やファンの大きな期待とプレッシャーがあったはずですが落ち着いたプレーを見せていました。本当にすごい選手です。
それはやはり、幼少期から日頃の積み重ねがあったからこそ。南米をはじめ世界の一流の選手たちは、普段の練習でやっていることを常に試合ですべて出し切ろうとしています。
試合で失敗をすれば笑われてしまうプレッシャーを何度もはねのけてプレーし、強い気持ちで立ち向かってきたのです。
結局は、そんな日々のプレーの積み重ねがその選手の強さとなり、数的不利でも敵から逃げない「たくましい個」を養っていくのだと僕は思います。
【了】