アデミウソン【写真:Getty Images】
名門・サンパウロから期限付き移籍で加入した横浜F・マリノスのFWアデミウソン。U-21ブラジル代表で10番を背負った逸材への期待は、当然のことながら相当に大きかった。
当初から随所に能力の高さを伺わせていたが、本領を発揮したとは言い難い。それでも周囲がアデミウソンに呼応し、彼自身もチームメイトの特徴を理解していくことで、相手の脅威となっている。
7節の湘南ベルマーレ戦まで無得点で、試合前には本人も「レギュラーとして出ているチームでこれだけ決められないのは初めて」と話していた。
だが、この湘南戦で結果を残す。齋藤学、兵藤慎剛との連係から鮮やかなゴールを決めたのだ。
10節の名古屋グランパス戦でもネットを揺らすと、前節の松本山雅FC戦。高く浮き上がったボールの落ち際をジャンピングボレーで叩き込んで見せた。今季3点目となるゴールは、王国の新たな才能がホンモノであることを改めて証明する一発だった。
コンスタントに出場機会を得ている若手の喜田拓也は以前、アデミウソンについてこう話している。
「攻撃にエネルギーを使わせてあげたい。自分が守備のタスクを多く負ってでも、攻撃に専念させたい」と、アデミウソンが存分に力を発揮できるよう手助けする意思を示した。
「まずはチームが勝つことが大事」と話すアデミウソンにとっても、仲間の存在は心強いだろう。
横浜FMは現在4位につけるが、規格外のプレーを見せ始めたアデミウソンは、今のチームに欠くことのできないピースとなっている。
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