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Jリーグ 10年前

ピッチ外での喧騒の中…苦悩する武藤「今こそ真価が問われる」。次なるレベルへの試練を乗り越えるか

text by 元川悦子 photo by Getty Images

結果が出ていない時こそ飛躍の糧に

ピッチ外での喧騒の中…苦悩する武藤「今こそ真価が問われる」。次なるレベルへの試練を乗り越えるか
武藤嘉紀という選手は、前へ前へ貪欲に泥臭く向かっていくところが最大のウリ【写真:Getty Images】

 もともと武藤嘉紀という選手は、前へ前へ貪欲に泥臭く向かっていくところが最大のウリ。猛烈な推進力でゴールに突き進むタイプの選手だから、創造性あるパス出しや変化をつけながらのチャンスメークはあまり得意ではない。

 しかしながら、より高いレベルにのし上がっていこうと思うなら、そういう柔軟性や臨機応変さを身に着けることは必須だ。若い世代のアタッカーで屈指の賢さを備える武藤なら、その大切さが分かるだろう。

 J1得点ランキング上位の宇佐美貴史(G大阪)や豊田陽平(鳥栖)、大久保嘉人(川崎)らとの競争を前向きに生かすことも1つのキーポイントだ。

 同い年の宇佐美は「オカちゃん(岡崎)や武藤を見て、ボールのない時にどういうタイミングで走っているかを考えるようになった」と語っていたが、武藤側から見ても、宇佐美の高度なシュートテクニックなどライバルたちから取り入れられる部分は少なくないはずだ。

「FWである以上、(ランキングの)上位陣にもしっかり食い込んでいきたい。今は点が止まってますけど、ここでもう1回、しっかりと整理しながら、ゴールに向かっていきたい」と彼は改めて語気を強めていた。

 かつて日本代表の指揮を執ったイビチャ・オシム監督も「失敗から学ぶことはある」と口癖のように語っていたが、武藤も結果が出ていないJ1の3試合を飛躍への糧にすべきだ。

 連戦続きで疲労がたまり、走行距離やスプリント回数は確かに微減傾向にあるが、肉体的・精神的に辛い今を乗り切ってこそ、大きな成功を手にできる。劇的な進化を遂げつつある武藤には、それだけの大きな器があるはずだ。

【了】

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