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Jリーグ 10年前

広島封じに新潟が徹した“ミラーゲーム”を見破った佐藤寿人の頭脳。ゴール以外でも貢献するエースの戦術眼とは

text by 竹島史雄 photo by Dan Orlowitz , Getty Images

塩谷が見せつけた高い得点能力

広島封じに新潟が徹した“ミラーゲーム”を見破った佐藤寿人の頭脳。ゴール以外でも貢献するエースの戦術眼とは
新潟戦で2得点の塩谷(写真は横浜FM戦のもの)【写真:Getty Images】

 広島の先制点となった前半19分のコーナーキック。そこに至る過程を佐藤は流暢に振り返った。おそるべき記憶力である。

「スローインでミキッチがボールインするところを、僕が大井選手を引き連れて、右サイドラインまで来てボールを受ける。そこでできた中央のスペースをドウグラスに使わせるようにして、ミキッチに折り返し、そこからのクロス」

 クロスにドウグラスがダイビングヘッドを試みるも、このときは対峙した前野が下がりながらクリアする。だがコーナーキックに逃れるのがやっと、それでもこの判断は致し方のないレベルであった。

 これで得たコーナーキック。広島の塩谷から見れば「マークが甘かったとこもある」場面で、柳下監督が「ちょっとしたミスだった」と説明する場面だ。塩谷がプルアウェイの動きで簡単にマーカーの大野を振り切り今季初ゴールを挙げた。

 直前に新潟は、こぼれ球への素早い反応から加藤大と指宿洋史が続けて枠をとらえたシュートを放っていたが、逃したリズムは大きい。一方、広島にとっては6試合ぶりのセットプレーからのゴール。開幕からゴールに飢えていた塩谷に待望の得点が産まれ、また一人頼もしいゴールゲッターが復活した。

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