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Jリーグ 10年前

広島封じに新潟が徹した“ミラーゲーム”を見破った佐藤寿人の頭脳。ゴール以外でも貢献するエースの戦術眼とは

5月23日に開催されたJ1 ファーストステージ第13節で、サンフレッチェ広島はアルビレックス新潟と対戦した。首位浦和を追う広島にとっては3試合ぶり、新潟にとっては降格圏脱出に向けた勝利が必要だったが、軍配が上がったのは広島だった。塩谷司が2ゴールを挙げるなどした広島だったが、この勝利の裏にはエースの“戦術眼”が隠されていた。

text by 竹島史雄 photo by Dan Orlowitz , Getty Images

首位浦和追走へ。負けられない広島

広島封じに新潟が徹した“ミラーゲーム”を見破った佐藤寿人の頭脳。ゴール以外でも貢献するエースの戦術眼とは
サンフレッチェ広島の佐藤寿人【写真:ダン・オロウィッツ】

 首位追走へ3試合ぶりの白星を手にしたサンフレッチェ広島。執拗な広島対策の上を行ったのはエースFW佐藤寿人の“ミスマッチ”につけこんだ巧みな戦術眼だった。日本代表候補にもなった浅野拓磨など若手の台頭にも変わらず存在感を放つ理由は、ゴール以外でも貢献する佐藤の“頭の鋭さ”である。

 ファーストステージ13節を前に首位の浦和と2位につけるG大阪より一試合多い暫定で3位につけていた広島。すでに、3敗(ホームで2敗)しておりここ2試合も勝ち星なし。ファーストステージの奇跡の逆転優勝へは背水の中、ホームでの新潟戦は勝利で上位へ喰らいつきたいゲームとなった。

 一方、連敗で17位と降格圏に順位を落としてしまった新潟。レオとラファエルの“Wシルバ”を欠き、若きエースの鈴木武蔵も帯同せず。舞行龍ジェームズと小泉慶を警告累積は出場停止。苦しい台所事情でも、アウェイでの勝利で浮上のきっかけを掴むためにとった策はいわゆる“ミラーゲーム”だった。

 今や、広島の代名詞ともいえる3-4-2-1はミハイロ・ペトロヴィッチ現浦和監督が広島に植え付けたもので、ACLではなかなかお目にかかれない変わったやりかただ(振り返ればJ2時代の2008年7節に高萩と柏木を両立させるためにできたシャドーありきの印象だが)。

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