「アウェイでも、ベアスタで戦っているような勇敢なサッカーを」
パスを回すことができるからこそ、持ち味であるハードワークと速い攻撃も効いてくる。36分の同点ゴールは中盤で奪ったボールがキムに渡り、スルーパスを受けた豊田が叩き込んだものだ。そして81分の得点も、相手のミスを奪ってから鋭くゴールへ迫ると、最後はキムのクロスがオウンゴールを誘った。
結果は2-3の敗戦だが、内容では川崎を上回ったと言っても過言ではない。ホームで見せるようなパフォーマンスを敵地でも披露できるようになってきた。
3月、ニッパツ三ツ沢球技場での横浜F・マリノス戦。鳥栖は0-1で敗れているが、森下監督は試合後、こんなことを語っている。
「アウェイでも、(ホームの)ベアスタで戦っているような勇敢なサッカーをどの場所でもどの相手でもやっていくのが、昨年までの自分たちを越えるための大きな課題だと思います」
鳥栖の攻撃は、豊田が最前線で身体を張るところから始まる。この屈強なストライカーがボールを収める、もしくはセカンドボールを味方が拾うことで厚みのある攻撃を展開できる。
ベアスタの雰囲気に背中を押され、鳥栖の選手たちは見えざる力を手にしたかのように躍動する。球技専用スタジアムでスタンドからピッチが近い。そのためサポーターの声がよりダイレクトに選手たちに届く。
アウェイでも森下監督の言う「勇敢なサッカー」を披露できれば、Jリーグ制覇も不可能な目標ではないだろう。だが、春先はうまくいかなかった。