リバプールの英雄に唯一欠けていた“プレミア優勝”
03年のキャプテン就任も、首脳陣からファンまで満場一致の決定と言ってよい。キャプテンマークを譲ったサミ・ヒーピアでさえ、「彼がつけた方が意味がある」と認めたほどだ。そのパフォーマンスも、リーダーに相応しい獅子奮迅の活躍を連発。
『イスタンブールの奇跡』として知られる05年CL決勝で、0-3からの反撃がジェラードのヘディングゴールに始まったことは有名だが、実はグループステージ最終節(オリンピアコス戦)でも、弾丸ミドルを含む孤軍奮闘で逆転の決勝トーナメント進出を実現している。翌年のFAカップ決勝は通称「ジェラード・ファイナル」。圧巻のボレー2発で延長戦に持ち込み、PK戦での優勝にチームを導いた。
リバプールのジェラードに欠けていたものと言えば、リーグ優勝という成果のみ。しかも、首位マンチェスター・シティに2ポイント差の2位に終わった昨季、悲願達成が絶望的となったのは、大詰めの36節チェルシー戦で足を滑らせた自身の転倒が敵の先制点を招いた瞬間だった。リバプール一筋の英雄は、プレミア優勝へのラストチャンスで悲劇の主人公と化してしまった。