長友に求められるDFリーダーの役割
コースを切って突破は許さず、最終ラインのフォローに入って危険なボールのクリアにも成功していたので、担当するサイドにおける守備では最低限仕事を果たしたということになる。ただ、ボールを奪った後で前に出ることはできず、後半に目立つ攻撃面のアクションは僅かだった。
不安定なCB陣のフォローに入らないといけないし、中盤がプレスで潰されるため高いポジションを取れなかったというエクスキューズはある。こういう状況で長友が出来ることは少なかっただろう。だが「僕も含めてしっかりと反省しなければならない」と本人が認めていた通り、DFラインに落ち着きを与え、助けるための何かが長友にも必要だったのではないだろうか。
味方にボールを預けられず攻め上がれないなら、単独でも出来る限りボールを運ぶ努力をするとか、もっとサイドからビルドアップを助けるとか、そういう面でも積極的にイニシアチブをとるようになることが、今後の成長において目指すべき方向性ではないのだろうか。
ジェノア戦のあと、「インテルにはディフェンスでリーダーシップを取れる人間が必要ではないのか」という指摘が増えてきた。それは主将でDFラインのまとめ役を務めているラノッキアに対する批判込みの発言でもあるのだが、今後において長友自身にも突きつけられている課題なのかもしれない。
9月で29歳。今後はチームに安心感を与えられる存在になることが求められるはずで、それはインテルに残るにしても、あるいは移籍するにしても変わりはないはずだ。
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