チームのパフォーマンスを向上させる本田の存在
また、恒例のプレーエリアでは、83.33%を敵陣でプレーし、アタッキングサードでは56.06%を記録。そして、アタッキングサードの中央エリアでは28.79%となっており、同右サイドの22.73%を上回る数値となった。
この右から中央へ動くプレーが復活したここ3試合は、本田自身のみならずチームのパフォーマンスも明らかに上昇している。キャリア当初は左サイドだったとはいえ、今ではサイドではなく、中央の選手である本田を右WGで起用するからには、この動きを制限しては何の意味もない。
こうして本田やファン・ヒンケル、エル・シャーラウィがチームの中で確実に機能したミランは、42分から56分まで1人少ない状況だったにも関わらず、支配率53.7%を記録。パス本数でもトリノの368本に対して443本と上回る成績を収めている。
メネズやボナベントゥーラの不在=チームのパフォーマンス、成績の向上とするのはあまりに短絡的だろう。それでも、これまで全く印象の残るパフォーマンスを示せなかったファン・ヒンケルが別人のようなプレーを披露した要因は“時間”だけではないはず。
自らの特徴、長所を発揮しつつもチームの歯車としてフィットできるエル・シャーラウィや本田といった選手に囲まれたからこそ、本来の攻撃センスが引き出された。
恐らく、ファン・ヒンケルがチェルシーへの復帰を求められることはないだろう。それでも、弱冠22歳の彼の今後のキャリアのために重要な一戦となったはず。
そしてミランにとっての希望ともえるエル・シャーラウィも、まだ22歳。これからが本当のキャリアのスタートといえるだろう。
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