“魅力的なサッカー”のために、共有すべき危機感
大久保は独白記事のなかで、「ヒール」のレッテルを貼られた岩下の今後についても懸念している。一人の選手が覚悟を抱いて提起した問題をJリーグが深刻に受け止めたのならば、スタッフが文面をメールもしくはプリントアウトするなどして、多忙の村井チェアマンに知らせることもできたはずだ。
サッカーはピッチの内外で試合に関わる全員がお互いをリスペクトし、信頼し合うことで成立する。この原則に照らし合わせれば、フェアプレー精神の本質が問われる2つの問題で、Jリーグや審判委員会が関与した跡は見られない。岩下の件に関しては、悪質な行為を見逃した審判団をかばっているのでは、という疑義を抱かれる可能性すらある。
一部でも信頼関係が損なわれれば、Jリーグが目指す「魅力的なサッカー」にも決して小さくはない影を落としてくる。ラフプレーに対する一連の甘い処分を「アリの一穴」としないためにも、Jリーグは組織全体で現状に対する大いなる危機感を共有しなければならない。
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