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Jリーグ 10年前

未だ届かぬ大久保の“勇気ある声”。アンフェア行為防止のため、Jリーグが共有すべき危機感

text by 藤江直人 photo by Getty Images

問うべきはサッカー界全体の意識

 21日の理事会では嘉悦朗理事(横浜F・マリノス社長)の起案を受けて、審判問題の議論にかなりの時間が割かれたという。

「レフェリーの判定に関してJリーグとしてもっと積極的に関与して、クォリティーを一緒に向上させていきませんか、ということでかなり突っ込んだ形で議論しました。人間がやることなので必ずミスは起こるという前提なんですけれども、そこの改善をどのようにして図っていくのか。現状がいいという認識はしておりません」

 理事会の内容をこう振り返る村井チェアマンは、いくつかの方向性で合意したとも明かしている。

 たとえば審判の判定に対して各クラブから提出されてきた質問書の内容を精査し、その後にどのような改善が見られたかを検証・検証する。審判委員会とクラブ関係者、理事会や実行委員会のメンバーが積極的にメディアの場に出て、判定に関して社外とのコミュニケーションを改善していく――といった点だが、いずれも喫緊の問題解決策とは大きく乖離している。

 フェアプレーの順守を高らかに宣言しているJリーグで、悪質なファウルが繰り返されている。これは何も審判の判定技術だけに帰結されるものではなく、Jリーグ事務局や規律委員会、審判委員会を含めたサッカー界全体の意識が問われる問題だ。

 キムの一件は本人がアントラーズのクラブハウスを訪問し、金崎とトニーニョ・セレーゾ監督に謝罪したことで沈静化した。岩下の一件は、当事者である大久保の声が届かない状況で風化しつつある。

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