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Jリーグ 10年前

未だ届かぬ大久保の“勇気ある声”。アンフェア行為防止のため、Jリーグが共有すべき危機感

text by 藤江直人 photo by Getty Images

キム・ミンヒョクの件を比較対象とするのは正しいのか?

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サガン鳥栖のDFキム・ミンヒョク【写真:Getty Images】

 理事会後の記者会見。サンフレッチェ戦における岩下の行為に対して「当然許されないアンフェアな行為であったと認識している」と言及した村井チェアマンは、一方で規律委員会に対してはこう述べるにとどまっている。

「規律委員会そのものに関しては、私も出席しているわけではありません。チェアマンとして規律委員会のメンバーに関しては人選することができますけれども、個別のピッチ上の判断に関しては規律委員会に委ねています」

 さらには、岩下に厳重注意が科されるまでの経緯をこう説明している。

「最終的には(清水選手が)受けた被害やダメージ、けがといったことなどを勘案しながら、トータル的に判断したと聞いております」

 勘案される際で比較の対象となったのが、サガン鳥栖のDFキム・ミンヒョクの一件となったはずだ。4月3日の鹿島アントラーズ戦でFW金崎夢生ともつれ合って転倒する際に、金崎の顔面を故意に踏みつけたとして規律委員会から4試合の出場停止処分を科された。

 試合中はイエローカードにとどまったキムのファウルの映像は、国内だけでなく海外にまで拡散。場合によっては失明しかねない「史上最悪のファウル」としてネット上で問題視され、アントラーズ側からの処罰要請を受けて4日後に規律委員会が開催された。

 このときも「処分が甘いのではないか」という批判が沸きあがったのは記憶に新しい。たとえるならば裁判における凡例のように、キムへの「4試合出場停止」が岩下に対する処分の基準になっているとすれば、それは間違っていると言わざるを得ない。

 処分はファウルを受けた側の「けがの程度」ではなく、ファウルを犯した側の行為に対して科されなければならないはずだ。その意味ではキムの処分は軽すぎたし、そのときに生じた「ボタンの掛け違い」が岩下へのさらに軽い処分を生み出したと言っていい。しかし、規律委員会内でどのような議論が交わされたのかは、残念ながら明らかにされない。

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