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Jリーグ 10年前

未だ届かぬ大久保の“勇気ある声”。アンフェア行為防止のため、Jリーグが共有すべき危機感

text by 藤江直人 photo by Getty Images

ファウルを受けた大久保の持論

 直後からネット上で沸きあがった、岩下に対する「あまりに悪質だ」という批判を受けて大久保は持論を展開したわけだ。その骨子は3つに分けられている。

(1)チームが負けないことを第一に考えた岩下の判断そのものは悪くない。
(2)主審は岩下のファウルに対してレッドカードを提示すべきだった。
(3)悪いのは岩下ではなく、Jリーグと審判団だ。

 このうち(3)に関しては、10日に行われたガンバ対サンフレッチェ広島戦の後半11分過ぎのシーンと密接にリンクしてくる。セットプレーの直後に試合の流れが途切れた瞬間、サンフレッチェのMF清水航平が自陣のゴール前で突然倒れ込んだ。

 扇谷健司主審を含めた審判団は、何が起こったのか気づかなかった。しかし、テレビのリプレイにはすれ違いざまにひじと肩を清水にぶつけ、にらみつける岩下の姿が映っていた。このシーンがYouTubeにアップされて、ファンの間で大きな波紋を呼んだ。

 事態は2日後の12日に動く。Jリーグの規律委員会が岩下を呼び寄せて事情聴取を行ったが、処分は厳重注意のみ。同日夜にガンバの公式HPにクラブからの謝罪文こそ掲載されたものの、岩下本人の言葉は残念ながら見当たらなかった。

 大久保が指摘した(3)は、規律委員会が出場停止処分を科しておくべきだった、そうすればフロンターレ戦ではプレーしていなかった――というものだ。しかしながら規律委員会は独立した存在であり、下された裁定に対してチェアマンがコメントする、あるいは裁定を差し戻すことはできない。

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