“共通言語”を得た本田
トリノは3バックの利点を駆使し、厳しい守備からショートカウンターにはめようとしてくるだろう。本田に対しては左CBのモレッティや、左WBのダルミアンがマークを受け渡しながら、詰めて動きを潰そうとしてくるはずである。これをいかにかいくぐってチャンスを作れるかが勝負だが、トリノにはうまく封じられた経験がある。
14年2月1日、本田がミランに移籍して間もない頃の試合だが、4-2-3-1の右サイドハーフで起用された本田はゲームの流れに全く絡めず、またモレッティの前にボールを満足に触らせてもらえなかった。連係ももちろん不在。中に絞ったのに誰からもパスをつけてもらえず、コミュニケーション不足から前線や中盤で浮いているように見えた様子から「火星人」と地元紙に揶揄されたのはこのカードだ。
ただ今は、当時と事情は少し違う。連係を以前よりも重視したサッカーをすることで、本田とチームメイトはパス交換という“共通言語”を使って意思疎通が取れるようになってきているのだ。
ゾーンの隙間に的確に動いてパスを引き出し、相手よりも常に一歩早いタイミングで動け、ボールを操れるかが勝負だ。そしてゴールを決めて、本格的に「火星人」のレッテルを過去のものとしてもらいたい。
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