消化試合もインザーギ監督が目指すものとは?
前節のサッスオーロ戦に敗れ、ヨーロッパリーグ出場権獲得の可能性が数字の上でも完全に消滅したミラン。2戦を残しているが、もはや興味は来シーズンに移っている。レアル・マドリーの解任が噂されたアンチェロッティ監督に対し、ベルルスコーニ名誉会長が直々に電話で誘いを掛けたことが判明した。
「ビジョンが違う。インザーギには若手を使うよう頼んだのだが、未処理のままだ」とベルススコーニは発言した。残留が早々と決まったり、タイトルや欧州カップ戦の出場権争いの可能性がなくなったりしたクラブは、消化試合と化した試合で下部組織の選手を起用することが多い。
だがこの終盤にあって、インザーギ監督はなおも自分の仕事を通そうとしている。日頃の練習を指導し、その中で目に留まった選手を評価し、なおもチームプレーを磨こうとする。カウンター志向やメネズのゼロトップ起用など、会長から度々クレームがついて修正を強いられたともっぱらの噂だが、インザーギ監督はここにきてようやく自分のやりたかったサッカーをしている印象がある。
それは同時に、ミランの明日に提言を残そうとしている行為なのかもしれない。「重要なのは個人の選手がどうこうというより、チームとして機能するかだ」。この終盤、彼は記者会見で毎回のように繰り返していた。本田圭佑についてプロの姿勢を褒め、「こういうスピリットをもった選手たちをベースに再出発を図るべき」といって起用し続けるのも、クラブに対するアピールの一つなのもしれない。