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Jリーグ 10年前

「会いに行けるアイドル」としてJリーグが秘める可能性。地元のヒーローとファンの関係がもたらす未来

シリーズ:J.CHAN text by 舩木渉 photo by Getty Images

地元に愛される「アイドル」がもたらすもの

 Jリーグはここ数年平均観客動員数が頭打ちで、スタジアムを毎試合満員にできるクラブは少ない。だからこそ、積極的なファンとの交流で「身近さ」や「親しみやすさ」を演出し、地元が積極的に応援してくれる雰囲気作りが起爆剤になるのではないだろうか。

 清水エスパルスの村田和哉は毎日ブログを更新し、日々の生活についてつづっている。その内容はプライベートというより、後輩を引き連れて地元のお店やサッカースクールを訪れて紹介しているものが多い。だが、これは誰もが学ぶべき姿勢ともいえる。

 地元の商店街に選手が現れて自分の店をブログで紹介してくれる、子どもたちが地元のヒーローに直接サッカーを教えてもらう、これだけの小さなことでも、選手が身近な存在になれば応援のきっかけにはなるはずだ。

 村田は自身のブログで「久々にスクールに顔出したけど本当に子どもたちからパワーをもらいました。ありがとう!(中略)いつの日かスクールに顔出すことが活躍の秘訣、という時代を作ります」と書いている。ここまで言われたら、スクール生の子どもたちも嬉しいに違いない。

 かつて名古屋グランパスでプレーしたウェズレイは、自宅の場所が地元で有名だったという。そこに小学生たちがやってきては、呼び鈴を鳴らしてサインをねだる。しかし、ウェズレイはまったく嫌な顔をせず、快くサインを書き、子どもたちと交流していたそうだ。

 当時近所に住んでいた男性によれば、「スター選手なのに驕った雰囲気はなく、地元の人たちは皆ウェズレイが大好きだった」と振り返る。

 性質は違うにしろ、村田やウェズレイのように選手の方からファンに歩み寄る姿勢も、Jリーグが「会いに行けるアイドル」である所以であり、誇るべき点だ。

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