劣勢でも崩れないユーベ守備陣
4分、セットプレーでいきなり失点。7分後に訪れたFKのチャンスからすかさず同点としたのはさすがだったが、そこからユーベは苦しんだ。ラツィオが非常にアグレッシブで、なおかつ個々の技術を織り交ぜたスピーディなサッカーを仕掛けてきたからだ。
ラツィオのステファーノ・ピオーリ監督は、意表をついて3-4-3のシステムを披露。中盤の密度を徹底的に高めて、ユーベの中盤と最終ラインに猛烈なプレスを掛けた。守備力の高いクラウディオ・マルキージオの出場停止が影響したのか、マッシミリアーノ・アッレグリ監督は3バックで先発をさせたが、これが裏目に出た。守備の時は両ウイングバックが引いて5バック気味になるが、おかげでラツィオに対しては中盤で数的不利を作り、プレスに押し負けて次々とボールを拾われた。
そしてラツィオには、高速カウンターを仕掛ける名手がいる。アントニオ・カンドレーバやフェリペ・アンデルソンが次々とドリブルで突っ込んでくるため、容易に後ろのスペースも開けられない。中盤のプレスで当たり負けし、カバーにも走らされたユーベの選手たちは、体力的にも消耗を強いられる。そういう展開では必然的にパスミスも増え、特に運動量低下の隠せないピルロや故障明けから間もないポール・ポグバは精彩を欠いた。
しかし、そういう状態でも崩れないのがユーベの強かなところである。中盤で差し負けても、ゴール前のスペースは断固として開けないのだ。カウンターからラツィオの攻撃陣と3対3の状況を作られるような場面でも、最終ラインの選手は慌てずにディレイをかけ、F・アンデルソンらのドリブルの勢いを殺す。そのうちに味方は素早く戻り、ゴール前を固めてシュートを打たせないのである。
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