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本田圭佑 10年前

本田は“良い流れ”を継続できたのか? 敗戦もチームメイトから得られた信頼、シーズン終盤で深まった「周囲との連係」

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

チームの信頼を得た本田

 本来、ペルーゾは攻撃にも積極的に顔を出すSBだが、この日は前線のサンソーネを追い越してクロスを上げるシーンが殆どなかった。それは本田に押し込まれていたからである。またそのペルーゾをフォローするため積極的にダブルチームに走ったタイデルは、早いうちにガス欠を起こし交代の対象となっている。

 またローマ戦から継承されたのは、周囲との連係もしかりだ。こちらはむしろ、前節の成功のおかげでさらに良いものになっていた。試合中本田は右サイドから中へ絞り、そして前線から中盤のスペースにふっと落ちて、ボールをもらって回そうとする。これまでだったら周囲に無視され、本田はチームの中で浮いた状態になったのだが、信頼を得た今はパスを付けてもらえるようになった。

 ゾーンの間のスペースにポジションを移し、欲しいタイミングでパスがもらえるから、相手の守備の前に詰まることなくボールが扱える。細かいパス交換からエリア手前のスペースでボールを受け、正確にゴール右隅を狙った36分のシュートは理想的だった。防がれたのはコンシーリのファインセーブを褒めるべきで、実に惜しかった。

 ボナベントゥーラが退場してからのプレーも、また良いものだった。前線が少ないことを意識し、正確でシンプルにボールを運ぶ。特にカウンターから攻め上がった後半27分のプレーは秀逸だった。深い位置でのマークをワンタッチで外すとともに、パスのアングルを確保。正確にスソへ通すと前線へ駆け上がり、エリア内へ走りきった。ちなみにシミュレーションを取られてイエローをもらうのはこのプレーだが、軽い接触での転倒がダイブと判断されるのはしばしばあることだ。

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