味方のミスをカバーするためにイエローも辞さず
最後は水本が備えている的確かつ冷静な状況判断力だ。アントラーズ戦の後半アディショナルタイム。ペナルティーエリア内に侵入してきたDF伊東幸敏と水本がもつれるように倒れ、直後に松尾一主審のホイッスルが鳴り響いた。
水本は前半25分にも、2013年9月14日の川崎フロンターレ戦以来となるイエローカードをもらっていた。再びイエローカードをもらえば退場となり、連続フルタイム出場も途切れてしまう――緊張感が漂った直後に、松尾主審は手にしたイエローカードを伊東に提示した。
競り合いながら、水本は伊東の一挙手一投足から意図的にダイブしてくることを感じ取っていた。
「なので僕が最初によけて、そうしたら相手がこけた。あれでイエローカードをもらっていたら倒れちゃいましたけどね。松尾さんがしっかりと見ていてくれたのでよかったです」
昨シーズンは警告ゼロでフェアプレー個人賞を初めて受賞したが、水本本人は「たまたまもらっただけ」と振り返る。クリーンさを貫く一方で、センターバックに求められるタフさと強さで相手と対峙することも忘れない。
アントラーズ戦でもらったイエローカードも味方の不用意なミスからボールを失い、カウンターを仕掛けられる直前にFW赤崎秀平を敵陣で倒したファウルが対象となった。
「味方のミスを彼が体を張って止めて、その代償としてイエローカードを受けてしまった」