心身ともに支えとなる妻、2人の愛娘の存在
次が愛してやまない家族の存在だ。サンフレッチェの森保一監督は、水本の名前を先発メンバーのリストに書き込み続けてきた理由をこう語る。
「食事とトレーニング、そしてトリートメントを含めた休養というサイクルのすべてがサッカーに、試合でベストのパフォーマンスをすることにつながっている」
睡眠時間は最低でも7時間。規則正しい生活の源になっているのが、5歳になる長女と2歳半になる次女を可愛がる水本の子煩悩ぶりだ。
「練習で疲れていることもありますけど、子どもも小さいのでなるべく早く寝るようにしていますね。食事は上手いものをバランスよく食べることを、トリートメントに関しては体にサインが出る前に疲れというものを自分で感じながら、トレーナーさんのお世話になるように心掛けています。基本的なことを毎日しっかりと積み重ねること、プロサッカー選手として最低限のことをやっているだけなんですけどね」
恐怖心を克服する上で巧みにアシストしてきた夫人は、食事面でも水本を支えている。そして、まだ幼い2人の子どもに合わせて眠りに就く日々が、故障と無縁の屈強なボディを作り上げる源になっている。
「けがをしてからは気持ちの波がなくなったというか、いい意味で楽観的に見えるようになりましたし、自分自身のことをより深く知ることもできた。それでも、やはり家族の支えがあったからこそだと思うので。家族がいなければダメだったでしょうね」
いまは必要がなくなったヘッドギアは、練習場のロッカーにしまってある。自宅に置いておけば夫人が目にするたびに嫌な思いをさせるかもしれない。そう気遣った水本の、さりげない恩返しでもあった。
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