小学生時代に脚力と泥臭さを身につける
今シーズンFC東京でゴールを量産し、日本代表にも安定して選出されるようになった武藤嘉紀。代表では、主に左サイドのポジションをドイツでプレーする乾貴士と争う恰好だが、欧州クラブ在籍選手中心のチームに入っても違和感のないその理由は、体脂肪率8%という「ヤセマッチョ」な体格だ。
日本選手のフィジカル全般に対し、もっと鍛えるようにと厳しい見方をしているバヒド・ハリルホジッチ監督も認めるレベルにある。
いま、イングランドのチェルシーやドイツのマインツから移籍を打診されているのも、ドリブルやシュートの技術だけでなく、強く速い肉体を持っているから。タテに行ったり来たりすることが多いプレミアリーグやブンデスリーガのチームからの獲得オファーは、貧弱な選手には舞い込まないだろう。
武藤の口癖は「攻守にハードワーク」。所属のFC東京では2トップの一角として先発することが多く、キックオフの瞬間から猛然と全力でチェイシングをはじめ、タイムアップの笛が鳴るまで全力疾走する。
ゴールデンウイークの連戦でもほとんどの試合でフル出場した。衰えないスピード、尽きないスタミナ。それだけでなく、強さもある。だから競り合いに強く、ドリブルで抜くこともでき、180センチもない身長ながら、ヘディングや、ボールを収める仕事もできる。そして試合の終盤で点を獲る集中力がある。
この基礎ができたのは小学生のときだ。所属していたバディSC(東京・世田谷区)での練習の日々が「武藤嘉紀」をつくった。
「バディではよく公園を10周、20周と走っていました。脚力もそうですけれども、あれだけ走り込むと、泥臭さが身につき、メンタル的にも強くなったと思います」