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Jリーグ 10年前

【英国人の視点】J外国人選手が語る“退屈な”チェルシーと浦和の正当性。本当の意味での“質の高いサッカー”とは何か?

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

何よりも勝利を優先するミキッチ

【英国人の視点】J外国人選手が語る“退屈な”チェルシーと浦和の正当性。本当の意味での“質の高いサッカー”とは何か?
広島のミキッチは何よりもチームの勝利を優先している【写真:Getty Images】

 ズラタンが2014年と2015年の浦和対G大阪の試合を比較するように、ミキッチは森脇良太、槙野智章、柏木陽介、ペトロヴィッチ監督が広島に在籍していた2009年の敵地川崎F戦を思い出しながら彼自身の考えを説明した。

「あの試合は0-7で敗れた。守備的にプレーはしなかったが、0-7で負けた。あの時と比べてフットボールの本質は何か変わっただろうか? 守備的にプレーして1-0で勝つことと攻撃的にプレーして0-7で負けることはどちらが良いだろうか? 場合によっては試合に勝つためにそうしなければならない。これも一種のクオリティーだ。

 指導者は“つまらない”と思っても試合に勝たなければならない。それがチャンピオンチームであり、悪いプレーをしながらも試合に勝つことは質の高さがないとできない」

 その考えに疑いの余地はないが、多くのサポーターが3ポイントに加えて品格や刺激を求めていることも事実だろう。ズラタンは浦和というチームが結果も内容も期待されていることを理解しており、チームには両面を突き詰めていける能力が備わっていると信じている。

「浦和では勝つと同時に魅力的にプレーすることも重要視されているが、毎試合でそれが出来るわけではない。しかし、我々は徐々に良くなっていると思うし、より魅力的なフットボールも目指していきたい」

 一方ズラタンは、昨季の失望から浦和の選手が二度と同じ過ちを犯さない強い決意があることを感じている。

「私が加入した時に彼らは今季こそ違う結果を残したいと意気込んでいた。昨季の失敗のことは理解している。彼らは優勝への大きな望みをもっている。その準備はできていると思うし、今は経験も積んだ。難しいことは百も承知だ。勝って王者になりたければ、ずぶとさも必要である」

【了】

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