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本田圭佑 10年前

本田圭佑が躍動した“2つのファクター”とは? メネズ不在で連携に徹したミラン、サッスオーロ戦で求められるのは「継続性」

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

整理された「チームの戦術」

 まず第1のファクターは、チームの戦術が整理されていたということ。ローマ戦を前にインザーギ監督は「中盤の強力なローマに対し、どれだけコンパクトな布陣をキープできるかが鍵だ」と語っていたが、それは単に組織守備について言及しているわけではなかった。

 フィールドプレーヤーがサボらずスペースを埋め、ローマの戦術の要である中盤の底とDFラインを経由したビルドアップをプレスで阻害。そしてそこから、少ないパスでゴールに到達するように速攻を仕掛ける。「コンパクトな布陣」とは、これら一連の流れを含めてのことだ。後半戦は特に、ポゼッションを志向したいのかカウンターを掛けたいのか曖昧だったが、2位のローマを相手にするということでやることが整理されたのだろう。

 そしてボールを奪えば、相手DFの間のスペースに動く本田にはすぐにパスが付けられた。攻撃時には2シャドー気味に絞り、中央にポジションをとっても左に流れてもシンプルにパスが出る。これまでの試合ではこれがかなり無視されていたのだが、練習を通して意識付けが変わっていた様子がうかがえる。

 前半40分のアシストのシーンは、その結実だった。本田は前線のプレスに参加し、デストロがアストーリからボールを奪取する。すると本田はガラ空きの右サイドへすかさず飛び出し、そこにデストロがすぐパスをつけた。これで本田は、相手が帰陣を整えるよりも早くスペースを攻略し、アシストパスの供給へとつなげることができたのだ。いつもだとこれが遅いので、囲まれた結果ボールを奪われたり、バックパスに逃げるしかなくなっていた。

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