抜群の安定感でチームをけん引したブッフォン
チームに目を移せば、この2試合を通して特に目立ったのがユベントスの守備力。クリスティアーノ・ロナウドに各1得点ずつの計2得点こそ許したものの、崩されたシーンはなく、何よりも37歳となったGKブッフォンの安定感は凄まじいものだった。
1897年の創設以降、栄光に満ちてきたクラブ史に暗い影を落としたのが06-07シーズン。“カルチョーポリ”と呼ばれる審判買収事件によって04-05、05-06シーズンのスクデットを剥奪され、セリエBへの降格を命じられた。
その後は1年でセリエAに復帰したものの09-10、10-11シーズンには2年連続7位に沈むほどに低迷。それでもアンドレア・アニェッリ氏が会長に就任し、アントニオ・コンテが監督を務めたことをきっかけに再びイタリアNo.1の座に返り咲いた。
そしてマッシミリアーノ・アッレグリ監督に引き継いだ今季はミランとの同国対決で敗れた02-03シーズン以来12シーズンぶりのCL決勝進出。デディエ・デシャンやアレッサンドロ・デル・ピエロを擁した95-96シーズン以来の欧州制覇にあと1歩と迫った。
加えて、現在のユベントスはイタリア国内において敵なしの絶対的王者。それでも攻撃に特化することなく、イタリア王者らしい強固な守備力を築き上げてきた。
その過程において、ブッフォンの存在は非常に大きな意味を持つだろう。前述したセリエB降格処分の際、イブラヒモビッチら多くの主力がチームを離れる中でブッフォンは残留を選択し、ユベントスでセリエA通算421試合に出場。
この2ndレグのレーティングでは7.4と高評価を獲得し、最後方に位置するその存在感は仲間には安心を与え、相手には威圧感を与えた。あるいは、ベイルがシュートをことごとく外したのも、このブッフォンの姿が目に映ったからかもしれない。