岩下への処分は妥当か。いま一度検証の機会を
では、今回はどうだろうか。メディアで取り上げられることはなかったが、さすがに処分はあっただろうと思い、12日にJリーグが公表した次節の出場停止者一覧を確認する。上から順に名前を追っていくが、そこに岩下の名前はなかった。
その夜、G大阪が1本のリリースを公式HP上に掲載した。そのタイトルには「岩下敬輔選手の行為についてのお詫び」とある。ここでほぼ察した。
そして内容は岩下が清水に肩と肘をぶつけたのを認めたうえで“クラブが”謝罪し、“Jリーグとクラブから”厳重注意を行ったというものだった。
Jリーグの規律委員会が行われた12日、岩下は上京して直接事情聴取まで受けている。それにも関わらず出場停止処分もなければ、厳重注意とクラブからの謝罪のみで、本人からの謝罪などは一切ない。
本当にこれでいいのだろうか。
岩下にはAFCチャンピオンズリーグの広州富力戦でも相手FWにプレーと関係のないところで蹴りをいれた疑惑が持ち上がっている。清水エスパルス在籍時代には対戦相手の選手に喉輪を喰らわせた前科もある。
今回の一件もキム・ミンヒョクの踏みつけと同等かそれ以上の悪質さに違いない。なぜ明確な処分が何もなかったのか、検証しなければならないだろう。岩下は広島戦の試合前整列時、相手のキャプテン・青山敏弘と握手しなかったのではという疑いもある(青山自身は元チームメイトで現在ロアッソ熊本所属の原裕太郎のツイッターで「見え方の問題、握手してますよ」と否定している)。
規律委員会内部で何があったのか、我々には想像するしかできない。だが、あそこまではっきりと映像に残っていながらお咎めなしは不自然だ。
Jリーガーは子どもたちに夢を与える存在であるはずだ。もちろん大人も彼らのプレーを見て元気をもらっている。今回の岩下の行為はそれらすべてを裏切るものではないか。
「臭いものにはフタをする」とでも言おうか。はっきりさせないまま終わらせるのは最悪だ。もちろんこれは「汚い選手」というイメージのままプレーする岩下本人の名誉のためにも、日本サッカーの未来のためにも。