サポーターは次世代にクラブの歴史をつなげていく存在
和泉は言う。「私たちのサポーター仲間でクラブ(愛媛FC)のためにずっといろんな企画を考えて実行してきた人がいるんです。一緒にサポ活動をしてきたその彼がMSA(多系統萎縮症)という、ALSと似たような難病にかかってしまいました。私たちにとって恩田社長の病気は決して他人事じゃないんです」。
愛媛の出身で東京に在住している和泉は福祉関係の仕事をしながら、ウメちゃんや他のサポーター数人で私にはにわかに信じがたいサポート活動を続けている。
それについてはいずれまた機会を改めて記そうと思うが、Jリーグ(だけとは限らない)がどのような思いを持った、どのような人たちによって支えられているのかということを虫眼鏡で見るようにつぶさに知っていくと、海外の一流クラブ選手によるスーパープレイに惹き付けられるのとはまた違った意味で痛切な思いにかられてしまう。
今回はFC岐阜の高校生サポーターが発案者となって巻き起こした一陣の暖かい風について記したが、FC岐阜に限らずモノゴトには表面も裏面も側面も目には見えない中身もあって常に複雑で多面的にできている。
そんな中にあってサポーターは常に貴重な存在であり続け、クラブとともに歴史をつむぎ、次世代につなげていく遺伝子の一部となっていく。
願わくは彼らの「思い」が地域に広く深く浸透し、永久に仲間が途切れんことを。
(文中の敬称は略させていただきました)
【了】