アウェイの愛媛サポも共鳴
風が強いながらも暑かった昼間の陽気が嘘のように冷え込んできている。しかし、この数分だけはその寒さを上回る暖かさがスタジアム全体を包み込んでいた。
発案者の鳥村はピッチレベルでクラブスタッフのアシスタントを務め、アテンド役までを見事にこなしてみせた。高校生サポーターの発案した企画がちゃんと形となり、スタジアム全体を巻き込んで熱い渦を作り出したのだ。予想以上の大成功である。
試合が始まり、岐阜が2点リードして迎えたハーフタイム。アウェイゴール裏には決して多いとは言えないながらも愛媛のサポーターがいた。チャントを歌って応援をするコアサポーターの他にも、まばらに観客が座っている。
その人たち一人ひとりに声をかけて回っている男性がいた。手に何かを持ち、それを座っている観客に差し出している。色紙だった(写真左)。男性の名前は和泉逸平(いずみいっぺい)。「愛媛サポートクラブ」(http://ehime-support.net/)のメンバーだ。
ちなみに名前の読みは同じでも彼はカエルではない。数日前、試合日が恩田の誕生日であることを知り、対戦する愛媛サポーターとして恩田に祝いのメッセージを寄せ書きにして渡そうと色紙を持参してきていた。
ふと振り返ると何か文字が書かれたボードを掲げている女性サポーターがいる。近づいてボードに目をやると、そこには「恩田社長! あなたの想いはサイコ―!! です」と書かれている(写真右)。掲げているのは通称ウメちゃん。カエルの一平くんが愛媛サポーターを代表して書き、それを彼女が掲げているのだ。
彼らのやっていることはサッカーの世界においては全然当たり前のことではない。だけど彼らを見ているとそれがさも当たり前のことのように映る。このようなホームとアウェイのサポーターによる共感・共鳴に基づいた行為・行動ついての考え方は様々だが、私はいろいろあっていいと思う。