ステップアップに不可欠な自主性、積極性
その武藤らFC東京攻撃陣を完封した柴崎岳・昌子源の鹿島コンビも光った。彼らの戦術眼の鋭さが出たのは、セットプレーからの攻めを浴び続けた後半だ。
「15試合26失点という状況を踏まえ、今回はセットプレーの守備をマンツーマンではなくゾーンに変えた。それで最初はうまく行っていたけど、後半に前田(遼一)さんが入ってから何度も危ない場面を作られた。そこで岳も俺もマンツーに戻して前田さんをマークした方がいいんじゃないかと考えた」と昌子は神妙な面持ちで言う。
柴崎も「マークの仕方を変えた方がいいと思ったけど、監督の指示もある。正直、葛藤はあった」と修正の必要性を感じていたという。
直後にトニーニョ・セレーゾ監督からマークの指示が出て、山本脩斗が前田についたことで鹿島は無失点勝利をモノにしたが、昌子は「そういう発信はピッチ上の自分たちがもっとやるべき。代表に行けば、ハセ(長谷部誠)さんや麻也(吉田)が主にそういう役目を担うのかもしれないけど、僕ら若手が言ってもいいはず」と自分たちがリーダーシップを持つ必要性を改めて強調していた。
杉本健勇(川崎)を含めた92年生まれの世代が「単なる代表の若手」から「主力」へとステップアップするためにも、昌子の言うような自主性や積極性が必要不可欠だ。
そういう自覚は全員が抱いているはず。指揮官も彼らにそこまでのタフで貪欲さがあるかどうかをピッチ内外を通して事細かくチェックするだろう。そこが、この合宿の1つの見どころになりそうだ。
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