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日本代表 10年前

ハリルホジッチ日本代表の快勝スタートを手放しで称賛してはいけない。チュニジア、ウズベキスタンの“不真面目な守備”

text by 宮崎隆司 photo by Getty Images

極端に間延びしたチュニジアの中盤と最終ライン

ハリルホジッチ日本代表の快勝スタートを手放しで称賛してはいけない。チュニジア、ウズベキスタンの“不真面目な守備”
後半31:56。ライン際でキープする酒井に対して、チュニジアの選手が3人がかりで寄せにいき、一方でDFラインが押し上がっていないため、中盤と最終ラインの間に広大なスペースが生まれている。そのため岡崎は余裕を持って縦パスを受け、直後の得点に繋がっていく。

 まずは2対0で日本が勝利したチュニジア戦。前号の記事で、「日本代表は決して決定力不足ではない」とした我々の見解が裏付けられたとも言えるでしょう。とはいえ、前述の通り、今回の試合で2得点を許したチュニジアの守備はお粗末そのものでした。その杜撰を極める守備を相手に、日本ほどの技術を持つ代表が点を取るのは当然であったと考えるべきでしょう。

 指摘すべき場面は余りに多く、しかし誌面には限りがあるので、チュニジア戦に関しては以下の3点を記すに留めたいと思います。

 日本の1点目。チュニジアが失ったボールをCB吉田が拾うと、その1秒後に吉田は右SBの酒井へパス。この時、タッチライン際でボールを持つ酒井に対して実に3人のチュニジアの選手(左SBとMF2枚)が前方へ寄せに行っています(後半31:56)。これは完全にセオリーから逸脱した行為です。

 しかもその一方で、チュニジアのDF陣はそのラインを1ミリも上げていません。

 結果、その2秒後に岡崎は完全にフリーの状態でパスを受けられています【図1】。FWが最も厳しいマークを受けるはずの「中盤と最終ラインの間」で、です。

 この場面でチュニジアのMFとDFラインが一体どれだけ間延びしているかを確認すれば、「不真面目な守備」と言う我々の意図はすぐに理解されることでしょう。

 また、続く場面では、攻め込む日本の4人に対して、チュニジアは3人。さらに、その2秒後には5対3となっています。なぜなら、チュニジアの左SBが戻るのを止めたからです。この左SBが足を止めたからこそ、本田のクロスを頭で捉えようとする岡崎はまったくのフリーになりました。この得点は取るべくして取ったのです。むしろ、これを決め切れていないとすれば、それこそ日本代表が「決定力不足」であると指摘されても致し方ありません。

 続いて日本の2点目。極端に間延びした中盤と最終ライン。それ自体は、どんなチームであれ、集中力を欠けば綻びとして露呈してしまう類のミスです。とはいえ、今回のチュニジアは、1失点目における杜撰な守備が決して偶然のミスではないことを、この2失点目で自ら証明してしまっているのです。

 後半36:44に見る本田とチュニジアDFの距離は、1点目で岡崎をフリーにした場面と酷似しています。これは単なる偶然なのでしょうか。

 そして、この2点目へ至る過程で見えてくる「不真面目な守備」は他にもあります。

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