10番としてはまだ不十分。しかし指揮官はプロの姿勢を称賛
「彼を軸にチームを回転させることが、今のチームを機能させる最良の方法であることを証明したわけだ。前半戦の好調はそういうことだっただろう?」
『ラ・レプッブリカ』のステファノ・スカッキ記者も好意的に語っていた。期せずして前半戦のローマ戦に近い状態に直したことが、ミラン並びに本田を再び輝かせたということだ。
もっともここまで結果を出せずにいた間、ミラニスタの中には本田に対して厳しい目を向けるものも少なくない。熱烈なミラニスタで、「I 10 MIGLIORI NUMERI 10 NELLA STORIA DEL MILAN(ミランの歴史上優秀だった10人のナンバー10)」という著書も出しているマッテオ・アノービレ氏は本田について「ミランにふさわしい選手じゃない。プロ選手としての意識の高さは評価するけれど、ピッチで放つカリスマ性に欠ける。まあ確かに今日はアシストも記録したけど」と語っていた。フリットにサビチェビッチ、ボバンにルイ・コスタ、セードルフらを見てきたファンには、やはりまだまだ物足りなく映るようである。
だが今はミラン全体がかつてのような戦力規模ではないし、何よりクラブのアイデンティティーをなしていた組織力、チームスピリットというものが失われている。再建を目指すには個のほかに、チームとしてのまとまりを取り戻すことが重要だ。インザーギ監督は、本田がこの日見せたパフォーマンスの中に、今後選手たちが模範とすべき姿を見ていた。
「彼は(アジアカップで)出て行き、そこからコンディションの回復に苦労していた。ただ彼は、文化の上で模範とすべき存在だ。練習へ意欲的に取り組むし、上達への意欲も強い。ミランの再建は、そういう意識の高さを持った男たちをベースになされなければならないのだ」
【了】