慣れないポジションも「違和感なし」
よほどの手応えと可能性を感じたのだろう。サンフレッチェ対策のはずだった「3‐6‐1」はその後も継続。新システムのもとでグランパスは4勝2敗と白星を先行させ、順位を暫定7位にまで浮上させた。攻守両面で原動力になっているのが、全試合に先発している永井であることは言うまでもない。
昨シーズンは自己最多の12ゴールをあげて、ここにありを声高らかにアピールした。日本代表への復帰も果たし、さらなる飛躍が期待されたなかで命じられた突然のコンバート。相手ゴールまでの距離を含めて、ピッチ上における光景がガラリと変わったことへの違和感はないのだろうか。
50mを5秒8で走破し、福岡大学時代から「自分よりも速い人に出会った記憶がない」と豪語していたスピードスターは、「徐々に体も慣れてきました」と人懐こい笑顔を浮かべる。
「最初は余力がなかったけど、いまは攻め上がってシュートにいったときでもパワーが残っている。周りも見えているし、やはり慣れが大事なのかなと」
ホーム200勝を達成した2日の湘南ベルマーレ戦では、攻撃面で永井の武器がいかんなく発揮された。
相手のカウンターをDF田中マルクス闘莉王が止め、右サイドを攻め上がったMF田中輝希へパスが通った瞬間に、ハーフウェイライン付近にいた永井はダッシュを開始する。相手のペナルティーエリアに近づくごとにグングンと加速し、最後は田中輝からのパスをゴール右隅へ正確無比に流し込んで0対0の均衡を破った。