困難に立ち向かう本田
今の状況を覆して明確な成功体験を得ない限りは、この人が自分から困難を回避しようとは考えないだろう。その後も彼はホームで行われたカリアリ戦でも、ジェノア戦でもブーイングの対象になるが、それに対して「最高ですね」と語ったり、ファンから皮肉と取られかねないばかりに拍手で返したりしたこともあった。それらの真意は明かされていないが、少なくとも困難に向き合っていることは分かる。
ゴールが決められず、プレースタイルも周囲とかみ合わないというジレンマもある一方、ファンはメディアは10番として結果が出ていないことを容赦なく責めてくる。だが恥をかくことも承知で今の状況を選び取ったのは彼自身で、本人はそれを自覚している。
それを理解しないまま「本田はミランから移籍すべきか」などと話を膨らませるのは、想像し得ないプレッシャーに身を置いているアスリートに対してリスペクトに欠けるだろう。
ただ問題は、彼の雇用者であるミランはどう考えるのかということだ。果たして来シーズン、本田が主力として使われる可能性はあるのか。気にしなければならないのはここだ。
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