「水も食べ物も与えられない」。本当か?
2022年にW杯が開催されるカタール。7年先のこの大会には様々な問題が指摘されている。中東特有の暑さによる問題は、選手のプレー環境や欧州リーグとのカレンダーの兼ね合いもあり、数年にわたり議論されている。
もう1つ忘れてならないのが労働問題だ。実際に、「多くのスタジアム建設労働者(主にインド、バングラデシュからの出稼ぎ)が、水と食べ物を満足に与えられていない」とイギリスのガーディアン紙から酷評されるなど、劣悪な環境が批判の的となっている。
果たして、真相はどうなのか? 真実を知るため筆者は、2022年カタールW杯アルライヤン新スタジアム視察ツアー(4月22日)に日本から唯一参加した。
カタールW杯組織委員会は、我々視察団に首都ドーハから車で1時間弱の場所に位置する建設中のアル・ワクラスタジアムを案内してくれた。
アル・ワクラスタジアムの現場に関しては、意外なことに特に劣悪労働を強いているわけでもなく、極めて普通の光景がそこにはあった(私が見た現場では水も与えずというようなことはなかった)。
次に訪れたのは、建設労働者の住居。
「労働者のプライバシーの観点から普段は公開しない」と案内担当をしてくれたステファン氏(カタールW杯組織委員会)は語ったが、世界20ヶ国から訪れた視察団のために特別に公開してくれた。
コンパウンド、いわゆる複合住居にて約500人の労働者が暮らしている。施設の入り口には、警備員を配備し、外部の人間の出入りが厳しく管理されている。セキュリティーに関しては全く問題なく、「カギをかけなくても盗まれることは絶対にない」(ステファン氏)という。