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Jリーグ 10年前

J3を席巻する雑草軍団。現在首位、躍進するレノファ山口がつなぐ未来

text by 舩木渉 photo by Wataru Funaki

内容が悪くても勝つ。強さを証明する大きな1勝に

 後半に入ってもYS横浜のプレッシャーは衰えないが、59分に試合が動く。セットプレーのこぼれ球を宮城雅史が見事なダイレクトボレーでゴールに突き刺し、アウェイの山口が先制した。

 宮城自身が「トップ2か3には入る」と振り返った会心の一撃で先手を取った山口は、さらに畳みかけたいところだが、69分にエースの岸田和人が不用意なラフプレーで2枚目のイエローカードを提示されて退場となってしまう。

 その後の20分は数的優位に立ったYS横浜の猛攻だった。しかし、前回の3失点を踏まえて身体を張ってシュートブロックに入ることを意識して臨んでいた山口が最後まで踏ん張り、10人で貴重な勝ち点3を獲得した。

 しかし、この勝利に満足している選手は誰一人いなかった。上野監督も「勝ち切れたというのも本当にセットプレーの1点だけ」と辛勝だったことを認め、内容には満足していない。

 それでもAC長野戦の敗戦を引きずらず、琉球戦の3失点を払しょくして無失点での勝利に、チーム内はポジティブな雰囲気が満ちていた。

 途中出場で守備に奔走した松本翔は「1人1人のコンディションや気持ちがあまりよくなかった中で、厳しい試合に勝てたという結果だけを見れば大事な勝利だった」と、この1勝の意味を語る。

 岸田の退場や選手交代などにより構成が細かく変化した中盤で奮闘した小塚和季は「今日みたいなゲームでもいろいろな選手が点を取れるというのは勝っていく中ですごく大事」と、得点パターンの多さを勝因に挙げ、「練習していることが試合で出たりしているので、充実している」とチーム状態の良さを表現した。

 これには松本も同調する。「攻撃力が自分たちの魅力だと思うし、いろいろなところの選手が点を取れているというのは大きい。どこからでも狙える攻撃が今の一番武器だと思う」と語った。

 実際に3得点以上挙げている選手は島屋八徳(6得点)、岸田(5得点)、福満隆貴(3得点)、そして宮城(3得点)と4人もおり、FWからDFまで全員が対戦相手の脅威となっている。

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