「彼は欧州サッカー界で最も注目される選手の一人だ」
2012年にマンチェスター・ユナイテッドで現役に復帰した時のことを思い出すと、私がチームに戻ることで頭角を現すことを目指していた若い選手たちの成長を阻んでしまったのではないかと思ってしまうこともある。その中でも、特に一人の選手のことが気にかかる。
当時のポール・ポグバは有望な若手選手で、私も出場したその年の1月のストーク・シティ戦でユナイテッドでのデビューを飾った。その夏には、クラブから何とか残るように説得を受けながらもユベントスへと去って行った。この取引で支払われたのは育成費相当額だけだったが、今では彼は欧州サッカー界で最も注目される選手の一人となっている。
ポグバが所属するユベントスは来週、チャンピオンズリーグ準決勝でレアル・マドリーと対戦する。彼自身も5月13日にスペインで行われるセカンドレグで負傷から復帰できるかもしれない。彼の評価額は最大7000万ポンド(約126億円)にもなる金額に設定されていると聞いた。非常に才能ある選手であることに疑いはないし、ユナイテッドとしても適切な条件でそうする選択肢があったのなら間違いなく彼を引き留めておきたかっただろう。
私があの18ヶ月間の現役復帰をしなければ、何かが変わっていただろうか? 私がチームに戻ったことや、ポールが得られた出場時間も小さな問題ではあったと思う。ユナイテッドの視点で言えば、ある若い選手が最高のレベルでプレーできるプロにまで成長できるかどうかを予想するのはいつも難しい。だが、ポグバがユナイテッドの手を逃れていった経緯に関しては、複数の要素が絡んでいたことだと思う。