シュート数わずか2本。防戦一方の90分に
その間、およそ40秒。強すぎる逆風の中で迎えたナポリ戦、開始早々にデ・シリオが一発退場をしでかしたことで風速はさらに強まった。
セリエA屈指の強豪であるナポリとのアウェイでの一戦、フィリッポ・インザーギ監督のシーズン中の残留が確定した後の一戦、今季初めてジェレミー・メネズを完全に欠いての一戦…。
本来であれば注目点の多かったこの試合だが、それら全ては1分も満たないうちに全て吹き飛んだ。
支配率77.3%(ナポリ):22.7%(ミラン)、パス総本数781本:252本、パス成功本数706本:178本、アタッキングサードでのパス本数363本:30本、パス成功率90%:71%、クロス本数35本:4本、チャンスメイク数20回:2回、シュート本数27本:2本。
11人対11人でも圧倒的不利であり、苦しい展開となることは必至。そんな格上の相手に1人少ない状況で89分を戦えば、防戦一方となることも仕方ないといえるだろう。
今のミランには劣勢を逆手にとってカウンターで応戦するしたたかさも、10人でうまく対処する戦術的な懐の深さもない。
ナポリは、76.64%と8割近い時間をミラン陣地でプレー。その様子は、まるでナポリの戦術練習のようだった。パスはよく回り、フィニッシュは何度でもやり直せる。
そんな中でも、ミランが前半を無失点で終えたことは讃えられるべきことだろう。デ・シリオの退場につながったファウルによって与えたPKは、GKディエゴ・ロペスがセーブした。
むしろ、完璧に引いて守るしかなくなったことがミランを勝ち点1に近づけたのかもしれない…などという、サッカー解説における“常套句”も考えながら迎えた後半、そのような理想論はもろくも崩れ去った。